中国・甘粛省敦煌砂漠で人気の観光スポット、鳴沙山、月牙泉では、世界各地から訪れる観光客がラクダに乗って砂漠散策を楽しんでおり、ラクダを引く秦作濤(Qin Zuotao)さんは英語や日本語で観光客にあいさつしたり、案内したりしている。
シルクロードで世に名を知られる敦煌は甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区)の境に位置しており、世界文化遺産の莫高窟、玉門関と懸泉置がある。特に近年、「一帯一路」が提唱された影響もあり、この一帯は人気観光地となっている。
「敦煌月牙泉の観光は1980年代に始まり、ラクダを引く人たちが現れましたが、そう多くはありませんでした」。月牙泉村委員会主任も務める秦さんは、CNS記者の取材に当時を振り返った。2000年以来、敦煌の観光市場は日増しに良くなり、農業より観光業の収入の方が多くなった。
その後、鳴沙山月牙泉観光区は農家から土地を借り上げ、その「補償」としてラクダを農家に支給した。村の農家は続々と観光業に転換した。その過程を秦さんは見てきた。
2000年ごろから敦煌の旅行市場は次第に規則が整備された。鳴沙山観光地区はラクダに番号を付けて管理するようになり、観光客をだますなどの現象も根絶した、と秦さんは振り返った。
「今、村人はラクダを引いて稼いでいる。世帯ごとに少なくとも2つのラクダの番号があって、一つの番号で年間4〜5万元(約66万円〜83万円)稼ぎ、世帯平均年収は8〜10万元(約132〜165万円)。ラクダの番号は一家の「お茶碗」みたいなもので、農家の生活を保障してくれています」と秦さんは語る。
「ラクダの寿命は約24年。3歳から仕事ができますが、ラクダの訓練は大変。通常3か月かかります。でも、観光シーズンには1週間で『仕事環境』になじませます」。秦さんによると、ラクダの訓練は「人間化」方式だ。つまり、ラクダに話しかけたり、命令したり、褒めたりして……の繰り返しだ。
観光シーズンには毎年、ラクダはたくさんの道を歩く。それを見るたび、秦さんは「とても苦労しているなあ、と心が痛みます。だから時間がある時は、私は自分が疲れていても、急いでラクダに水をあげたりえさをあげたりしているんです」。秦さんはきっぱりと言った。「ラクダは家族のような存在ですから」
康強(Kang Qiang)さんは、天津理工大学を卒業し、2013年に帰省してラクダを引いている。康さんはCNSの記者にこう振り返る。「ここで生まれ育った者が、敦煌の観光事業に引かれて帰省し、
就職するケースが多いです。我々は観光市場に順応し、さまざまな外国語を習得し、サービス能力を向上させてきました。今後もさらに努力し自分を高め、敦煌・シルクロードの観光事業に力をささげたい。
そうすれば、同時に自分たちの生活ももっと良くなっていくでしょう」と希望を語った。
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